健康を失って気づいた大切なこと

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1.喪失の先に見える「気づき」と新たな可能性

最近、私の指に異変を感じました。第一関節が痛みはじめ曲がってきたのです。調べてみると、それは「ヘバーデン結節」という病気でした。

病院で診察を受けると、医師から「指は使わないように」と言われました。けれど、どうやったら指を使わずに生活できるのでしょう?考えたこともありません。それにとにかく痛い。

今まで何も考えずに使っていたので、このように不自由を抱えてみると、指先は1日に何百回も使われていました。ドアを閉める、髪を洗う、電気のスイッチを押す、ペットボトルのキャップを開ける――こうした普段何気なく行っている動作が、指先に大きく頼っていました。それに私はピアノ弾きなのです。

これまで当たり前に使えていた指がうまく動かない、その不自由さに困惑しました。私にとってこれは「グリーフ」でした。

グリーフとは、何か大切なものを失ったときに生じる感情反応です。多くの人は「グリーフ」と聞くと、大切な人との死別を思い浮かべるかもしれません。しかし、グリーフはそれとは限りません。健康を失うこと、仕事や役割を失うこと、あるいは日常の中で当たり前だった何かを失うことも、私たちにとって深い喪失感をもたらします。

たとえば、私の場合、指の自由が失われることはそれにあたります。それは単なる身体的な不便さだけではなく、「今までできたことができなくなる」という喪失感につながったからです。

2.喪失だけではない、得られるもの

病をきっかけに、私はこの症状について詳しく調べました。同じ病を抱える方々の体験談を読み、彼らがどのように日々を過ごしているのか知ることができました。これまで全く知らなかった知識や、同じように痛みを抱える人々の気持ちに少し寄り添えるようになった気がします。

ここで重要なのは、喪失は単なる「減少」や「失うこと」にとどまらないということです。喪失をきっかけに得られるものもあります。それは知識だったり、共感する力だったり、小さな幸せに気づく感性だったりします。

喪失を避けることはできませんが、その先に目を向けることで、心の中に新たな気づきが生まれることがあります。グリーフケアの視点から見ても、これはとても大切なプロセスです。

3.喪失をどう受け止めるか

人は日々、何かを失いながら生きています。それは健康や若さ、時には人間関係や環境かもしれません。失うことには痛みが伴いますが、同時にその先で新しい学びや気づきを得ています。

私にとっては、ただの病ではなく、自分の体や心の声に改めて耳を傾けるきっかけとなりました。

この経験を通じて、自分の周りにある小さな幸せや、これまで見過ごしていた日常の中の大切なものにますます気づけた気がします。

4.気づく力が生み出す豊かさ

人はこのように、何に気づくかでその人の豊かさが変わります。たとえば、指先の不自由を通じて、普段は意識しない動作の大切さに気づくこと。その小さな「気づき」が、日常への感謝や新たな視点を生むことがあります。

では、もしあなたが余命を宣告されたとしたら、何をしますか?この問いは、私たちを何気ない日常とは異なる視点へと導きます。

その答えが、最初は絶望であることもあるでしょう。それで大丈夫なのです。人は絶望したあとに希望を抱くものだからです。悲しみや苦しみをしっかりと感じ、受け止めた先に、ふと心が落ち着く瞬間が訪れることがあります。

そのとき、初めて「何を大切にしたいのか」「これからどう生きたいのか」という自分の本当の心に目を向けることができるのです。

豊かさを左右するものは、決して物質的なものばかりではありません。たくさんのものを所有していても、気づく力がなければ、その価値に気づけないまま過ごしてしまうこともあります。

一方で、気づく力を持つ人は、ささやかな日常の中に喜びや意味を見出すことができるのです。この「気づく力」は、私たちがこれからの人生をどう歩むかを大きく左右するものです。

失うものの中から得られるものに目を向けること、日常の中にある幸せや学びに気づくこと。それらが、心の豊かさを育むきっかけになるのだと思います。

5.おわりに

人生の中で、何かを失うことは避けられないものです。それはときに深い悲しみや絶望を伴いますが、そこから新しい気づきや希望を見出すこともあります。

もし今、あなたが心の中で何かを抱えているなら、その気持ちを無理に押し込めず、まずはその感情を大切にしてあげてください。失うことがもたらす痛みは計り知れませんが、それを抱えながらも、私たちは少しずつ進んでいくことができます。

どんなに辛い時でも、時間が経つにつれて心は少しずつ落ち着いていきます。その時には、今まで気づかなかったことが見えてくることもあるかもしれません。無理に答えを出す必要はありません。ただ、心に余白が生まれるまで、自分自身を労りながら過ごしてみてください。

人生には、失うものがあっても、それに寄り添いながら進むことで新たな発見や気づきを得ることができます。辛い出来事の中から、自分にとって大切なものや、次に向かう力を少しずつ見つけていけますように。

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