遺体発見から1年…死後硬直のナゾと日本の解剖の現状、心を軽くするためのケアを考える

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父を遺体で発見してから1年が経ちました。その瞬間のことは今でもはっきりと覚えています。過去の職業柄、私の人生でご遺体と対面することは多かったのですが、身内は鮮明に光景が浮かびます。

私が発見した時は死後硬直の状態でした。背中は見ることはできませんでしたが、下肢にも紫斑が出ていました。そして仰向けの状態で腕が上がりジョギングをしているような、ファイティングポーズのような、恰好でした。実はこの格好のご遺体を見るのは初めてではありません。なぜ、腕がジョギングしているかのようなポーズをとるのでしょうか?

遺体を発見・突然のお別れ
発見先日、いつも通り仕事をしていたら、父の家に週1度入るヘルパーさんから電話がきた。珍しく鍵が開いてなく、電話をしても出ない。でも車はある。と面倒なほど几帳面な父なので、人が来る日に玄関が開いていないのはおかしい。嫌な予感、職場の誰かに言い...
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なぜジョギングポーズをとるのか

具体的な状況や体の状態、死因によって異なるため、正確な理由を特定するのは難しいです。以下はいくつかの一般的な見解をまとめてみました。

1.死後硬直(リゴルモルティス)


死後、筋肉が硬直する過程が始まります。死後硬直は通常、数時間後に始まり、12時間以内に全身に広がります。このため、亡くなった直後の体の姿勢がそのまま硬直し、腕が上がった状態で硬直してしまった可能性があります。

2.死前の体位や活動


心停止や呼吸困難が突然起こった場合、体が無意識に異常なポーズを取ることがあります。例えば、筋肉のけいれんや無意識の動きが原因で、腕が上がった状態になった可能性も考えられます。

3.その他の健康問題


心臓発作や脳卒中など、急な健康状態の悪化が原因で亡くなった場合、特定の筋肉が緊張状態に陥り、腕が持ち上がったままの状態になることがあります。

突然亡くなった時の心理

家族が突然亡くなった際、正確な死因を知りたいと感じる方は多いでしょう。誰もそばにいないときに天に召された場合、

なぜ亡くなったのか

亡くなる前はどんな行動をとっていたのか

最期に何を食べていたのか

最期に何を考えたいたのか、、、

などと残された人は思いを馳せるのです。

しかし、日本では亡くなった場所や地域によって解剖の実施が異なることをご存じでしょうか?

特に事件性がない場合、解剖の種類や手続きが地域によって変わるため、誰もが同じ解剖を受けられるわけではありません。

私がこのことを知ったのは、父を亡くした時でした。

司法解剖と行政解剖

よくドラマなどで司法解剖という言葉は耳にしたことがあるのではないでしょうか?実は司法解剖以外にも行政解剖、病理解剖というものがあります。

司法解剖と行政解剖は、どちらも遺体を調べて死因を特定するための解剖ですが、目的や実施される状況が異なります。

1.司法解剖

犯罪性が疑われる死亡や異常な死因が不明な場合に、死因の特定や犯罪性の有無を明らかにすることが目的です。

実施の理由は、 殺人、事故死、自殺など、異常死や不審死の可能性がある場合に行われます。警察の要請に基づき、裁判所の命令で実施されます。

実施機関は、法医学者などが担当し、警察や検察が関与します。

法的根拠は、「刑事訴訟法」に基づいて行われます。遺族の同意: 遺族の同意は必要ありません。司法手続きの一環として強制的に行われる場合もあります。

2.行政解剖

自然死や突然死など、病死が疑われるが死因がはっきりしない場合に、死因を解明するために行われます。犯罪の可能性が低いが、明確な診断が必要な場合に行われることが多いです。

実施の理由は、 医師が死因を特定できない場合や、異常死であっても犯罪性が認められない場合などに行われます。警察の要請に基づき行われますが、法的な強制力はありません。

実施機関は、大学の法医学教室や自治体が指定する医療機関で行われます。

法的根拠は、「死体解剖保存法」に基づいて行われます。

行政解剖の場合、異常死の解明が重要な場合には、警察署長の指示により遺族の同意がなくても行われることがあります。

主な違いは司法解剖は犯罪性を調査するために行われ、強制力があり、裁判所の命令で実施されます。行政解剖は犯罪性が低い場合に死因を特定するために行われます。どちらの解剖も、亡くなられた方の死因を明確にするために非常に重要な役割を果たしますが、その実施の背景や手続きが異なります。

死体検案書

父の死因については警察によって事件性がないと判断されたため、とても簡単に髄液を取るだけのものでした。脳に損傷がないということが知れただけでしたが、そのおかげで、転んで床に仰向けになったのではなく、自ら具合が悪くなり床に寝たことがわかりました。それ以上は調べられず、「死体検案書」には自然死、心臓急死の疑いと書かれています。住んでいる地域が地方であり、解剖を行う施設や専門家が限られていることも関係しているようです。この時、初めて「解剖はどこでも行われるわけではない」という事実を知りました。

入院して亡くなると、死亡診断書というのが貰えます。しかし入院せずに医師にかからずに突然亡くなると、遺体は警察署にすぐに引き取られ、地域の医師など(内科医など)が遺体をみて、死体検案書というものを書いてくれます。費用はまちまちですが、おおよそ3万円前後かかります(2023年現在)。それを持ってやっと死亡届が提出できます。

行政解剖が行なわれる地域

では、行政解剖が行われる地域とはどこなのでしょうか?実は、法医学の施設が整備された大学病院や大都市圏に集中しており、地方ではその体制が整っていないことが多いのです。このような地域差は、実際に直面するまでなかなか気づかないものですが、日本全国で解剖が均等に行われているわけではないのが現状です。

行政解剖が行われる地域は、東京23区、大阪市、横浜市、名古屋市、神戸市の監察医が置かれている地域に限定されており、その他の地方では、法医学者などが解剖を行うことがあります。

突然の別れと向き合うために…グリ-フケアの大切さと心のケア

あの日の記憶とともに

冒頭にも記しましたが、父を亡くしてから1年が経ちました。今でもあの日のことが鮮明に思い出されます。身内の突然の別れは、心に大きな影響を与えるもので、私もまた、その悲しみを抱えながら日々を過ごしています。この経験を通じて、「亡くなった方を悼むだけでなく、その悲しみをどう心に収めていくか」ということがとても大切だと感じます。

グリ-フケアという選択肢

グリーフケア(悲嘆ケア)では、カウンセリングを通じて、その悲しみと向き合い、少しずつ心の負担を軽くするサポートが行われています。遺された人の気持ちを丁寧に扱いながら、その痛みを理解し、共に悲しみを整理していく時間が、時に必要なのかもしれません。

心の重荷を少しずつ軽くする時間をあなたに

もし、心に残る悲しみを抱えている方がいらっしゃるなら、ぜひ一度、カウンセリングにいらしてください。心理師として、そして同じような経験をした人間として、あなたの心の痛みに寄り添いながら、少しでも心が軽くなるようお手伝いをいたします。日常の中で思い出を振り返る時間を持ったり、感情を紙に書き出してみたりすることで心が整理されることもあります。誰かにそっと気持ちを話すだけで心がふっと軽くなることもあります。

私たちは一人ではなく、誰かと共に前を向いていく力を持っています。ひとりで抱え込まず、一緒に一歩ずつ、心を解きほぐしていきましょう。

参考・引用:死因究明推進白書2022(厚生労働省)

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