アニメ大好きピュシカです。
『進撃の巨人』映画が公開されていますね。『進撃の巨人』は、壮大なストーリーと深い心理描写で多くのファンを魅了しています。シーズン1エピソード23では、アルミンとアニの会話が特に印象的でした。
アニ:「あんたさ、私がそんなに『いい人』に見えるの?」
アルミン:「いい人か、それは、、、その言い方はあまり好きじゃないんだ。だってそれって自分にとって都合のいい人をそう呼んでいるだけな気がするから」
このやり取りは、「いい人」とは一体何を意味するのか、自分の中にある価値観や他者の都合に左右されない在り方について考えさせられますね。実は、このやり取りには心理学的にも興味深いポイントが隠されています。それでは、心理学の視点からこのテーマを掘り下げてみましょう!
1. 「いい人」という言葉の心理的な背景
「いい人」とは、一見すると誰かを褒める言葉のようですが、実は評価する側の価値観が大きく反映されています。この評価は、「その人が自分にとってどれだけ役に立つか」「心地よく感じるか」といった主観的な基準によるものが多いのです。アルミンが言うように、この言葉には“自分にとって都合のいい”という要素が含まれることが少なくありません。心理学では、人は他者を評価する際に自分のフィルターを通して見る傾向があるとされています。これをバイアスと言います。このフィルターには、経験、信念、過去の人間関係などが影響しています。そのため、客観的に「いい人」「悪い人」を定義することは難しいのです。
2. 評価の危うさ:主観が生む不公平性
人を「いい人」「悪い人」と評価することは、時として不公平な結果を招きます。例えば、同じ行動をしていても、評価する人が異なれば「いい」とも「悪い」とも解釈される場合があります。このように、評価は主観的なものであり、固定的な真実ではありません。さらに、特定の条件下で「いい人」と評価される人が、別の場面では「悪い人」と見なされることもあります。たとえば、職場で上司の意見に従う部下は「いい部下」と評価されることが多いですが、同時に「主体性がない」と批判される場合もあります。このように、評価は二面性を持つことがあるのです。
3. 「都合のいい人」の心理学的解釈
アルミンの言葉が示唆するように、「いい人」とはしばしば評価する側の期待に応える人を指します。心理学では、これを「期待理論」と関連づけて考えることができます。期待理論とは、人が他者に対してどのように行動してほしいかという期待が、相手の評価に影響を与えるという考え方です。この「都合のよさ」に基づいた評価は、時として他者を一面的に捉え、その人本来の価値を見失わせるリスクがあります。例えば、「いい人」として評価された人が、自分の意見を主張した途端、「わがまま」「自己中心的」といった評価を受ける場合があります。このような評価の変化は、相手をコントロールしたいという無意識の心理の表れとも考えられます。
4. 心理学で考える自他の尊重
心理学では、他者を評価する際の主観的なフィルターを自覚することが大切だとされています。評価する際には、相手の行動の背景や状況を理解しようとする姿勢が必要です。また、自分の「都合」だけで相手を判断していないかを振り返ることも重要です。さらに、自他の尊重を心がけることで、「いい人」「悪い人」といった固定観念を超えた人間関係を築くことができます。これは、相手の価値を一面的に評価するのではなく、その人の多面的な存在を受け入れるというアプローチです。
5.まとめ
アルミンのセリフ『いい人』という言葉に対し、「だってそれって自分にとって都合のいい人をそう呼んでいるだけな気がするから」は、人を評価する際の主観性と、その問題点を鋭く指摘しています。「いい人」「悪い人」という単純なラベルを貼るのではなく、相手の行動や考え方の背景に目を向け、自他を尊重する視点を持つことが大切です。
日常生活で「いい人」や「悪い人」と評価する場面があるとき、少しだけ立ち止まって、自分のフィルターや価値観に気づいてみると、新たな発見があるかもしれません。相手を多面的に見つめることで、より豊かなコミュニケーションにつながる第一歩になるはずです。今日から一緒に意識してみましょう!
引用:アニメ進撃の巨人 シーズン1エピソード23・シーズン6エピソ-ド1
参考:エドワード・デシ 「自己決定理論」 /フィリップ・ジンバルドー 「ルシファーエフェクト『ふつうの人が悪に変わる時』」/ヴェクター•ブルーム 「期待理論」
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