人生の最後は誰にでもやってきます。その最期にあなたはどんな言葉を残したいですか?「もっとあれをやっておけばよかった」――そう後悔する方もいれば、穏やかに「ありがとう、いい人生だった」と旅立つ方もいます。
私は仕事柄、多くの方の人生の最期の瞬間に立ち会わせていただきました。その貴重な時間を共有させていただいた中で気づいたのは、満足して最期を迎える方は少数であるということです。私の経験では、最期に「私は十分生きた」と語る方は約10%。残りの90%は、やり残したことや後悔に思いを巡らせていました。
そんな中で、特に心に残る女性がいました。彼女の言葉は、まだ30代だった私に生き方を考える大きなヒントを与えてくれました。
ここからはおまけの人生
その女性は70代後半で、穏やかに最期の日を迎えました。彼女の人生を大きく変えたのは、60代で心臓病を患い、手術を受けたことです。手術後、彼女は在宅で療養生活を続けましたが、生活自体が劇的に変わったわけではありません。むしろ日常生活は大変になりました。それでも、彼女の人生には大きな変化がありました。それは、彼女の意識が変わったことです。
彼女は「手術で生き長らえたので、そこからは私にとっておまけの人生なのよ」と笑いながら語ってくれました。それは単なる楽観主義ではありません。むしろ、人生の本質を深く理解した上での言葉だったと思います。彼女は過去の苦しみも含めて受け入れ、毎日を大切に生きることを選んだのだと私は感じました。

意識が変わると日常が変わる
彼女が語った「おまけの人生」という言葉には、深い意味が込められていると感じました。それは、もし「今の自分がおまけの人生だ」と思うことができれば、日々の一瞬一瞬がもっと価値あるものに感じられるのではないか?と考えたからです。
「おまけの人生」という考え方は、残りの時間を無駄にしないように意識を向けるきっかけを与えてくれます。もし「今の自分はおまけの人生だ」と思うと、無駄にできる時間はもうないと感じ、より一層、目の前の瞬間や人々に対して感謝の気持ちを持つようになるからです。生きていること、周りの人との関わり、日々の些細な出来事が、いかに貴重であるかを再認識することができます。
また、「おまけの人生」という視点からは、何気ない日常の一瞬一瞬をもっと楽しむことや、後悔なく生きるために何を大切にするべきかを考えるようになります。これが、日々の生活がより価値のあるものに感じられる理由です。
意識が変わることで、目の前の一瞬一瞬をもっと大切に感じ、人生の豊かさが増すのです。時間をどう使うか、何を本当に大切にすべきかを明確にし、日々をより意味のあるものとして生きることができるようになるのです。

満足して最期を迎えるために
彼女の言葉や生き方を見ていると、満足した最期を迎えるためには、どう生きるかということに大切なヒントが見えてきます。「私は十分に生きた」と語られる方々には、ある共通点があります。それは、過去の後悔や失敗を完全に消し去ることはできなくても、それを受け入れた上で今を大切にし、できる限り心穏やかに生きるという姿勢です。

1. 自分らしく生きる
もちろん、自分らしく生きることは簡単ではありません。周囲の期待や自分自身の不安と向き合いながら、少しずつ自分を大切にすることが大切です。
2. 小さな幸せに気づく
人生の中で大きな変化を求めがちですが、実は日々の小さな幸せが心の支えとなります。「朝の陽射しや家族とのひととき、何でもない瞬間」と、彼女は日常の中で当たり前にある幸せを見つけていました。これを意識的に感じることが、毎日を少しずつ豊かにしてくれるはずです。
3. 感謝を忘れない
感謝の気持ちは、心を穏やかにしてくれます。困難や苦しみの中でも、それを乗り越えてきた自分や助けてくれた人々への感謝の気持ちを持つことで、前向きに生きる力を得ることができます。彼女も「心臓手術で命をつないでもらえたことが奇跡。あの時の先生にも感謝」と、苦しい時期を乗り越えた後の感謝の気持ちを語ってくれました。そして最期のときには私にすら「ありがとう」と言ってくれました。

おわりに
彼女の「おまけの人生」という言葉には、このように深い意味が込められています。私たちは日々の忙しさの中で、当たり前のように時間が過ぎていくと思いがちです。しかし、その一瞬一瞬がかけがえのないものだと気づけると、生き方が変わるかもしれません。
このような日常は人生最後に気づくことがほとんどですが、それを人生最後にわざわざする必要はありません。もっと早い段階で、今この瞬間からでもできるのです。もし今日が人生最後の日だったら、何を感じ、何を伝えますか?そして本当は何がしたいですか?
明日もその「おまけの時間」を大切に過ごせたら•••。
私の経験と感じたことを通じて、あなたの人生の一歩を豊かに変えるきっかけになれば幸いです。

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