感情が止まらない時に効く〜抑えず落ち着く「外在化」

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こんにちは。公認心理師のピュシカです。

怒りや不安が出たとき、「抑えなきゃ」と思うほど、余計に苦しくなることがあります。感情が強くなると、言葉がきつくなったり、後悔する行動をしてしまったり…。そして落ち着いたあとに、

「またやってしまった」

「自分って感情的すぎるのかも」

と自分を責めてしまう方も多いです。

この記事では、そんな方に向けて感情と距離を取るための視点「外在化」をわかりやすく紹介します。

実は感情が出ること自体は「問題」ではありません。

怒り、不安、悲しみ、焦り

これらの感情は本来、人が持つ自然な反応です。人の心が何かを感じ取った結果として出てきます。

問題なのは感情そのものではなく、感情の出し方と扱い方です。

言いすぎる

自己否定が止まらない

後悔を繰り返す

こうした状態が続いてしまうことです。

「抑え込むほど苦しくなる」ことがある理由

多くの人は、感情が強くなるとこう思います。

「落ち着かなきゃ」

「我慢しなきゃ」

「こんなことで怒る自分が悪い」

でも心理学的には、感情を押し込めることが、しんどさを強める原因になることがあります。フロイトはこの働きを「抑圧」と呼びました。

抑圧とは、不安や葛藤を引き起こす感情を意識から遠ざける心の働きです。ここで重要なのは抑えた感情は消えるわけではないということです。

表面から見えなくなっても、別の形で出てくることがあります。

たとえば、

原因不明の疲れ

身体の緊張

急なイライラ

自己嫌悪

こういった形で現れることがあります。

感情に飲み込まれているとき、起きていること

感情が強くなっているとき、人は考えているようで、実は反射的に反応しています。

たとえばこんな状態です。

相手の話が入らない

言葉が強くなる

正しさだけが残る

体が緊張する

このとき、感情は心の中にあるのではなく

あなたの前に立って、代わりに動いているような状態になります。だから「冷静になって考えよう」としても、難しいんです。

外在化とは「感情と自分を切り分ける」見方

外在化とは、ナラティブ・セラピーで使われる考え方で、

『人が問題なのではなく、問題が問題なのだ』

という考え方です。

つまり、感情を「性格」ではなく、今起きている状態として扱う視点です。「私は怒りっぽい」ではなく「怒りが前に出ている」

外在化の基本は、とてもシンプルです。

たとえば怒りの場合

❌ 私は怒りっぽい⇒⭕ 怒りが今、かなり前に出てきている

不安も同じです。

❌ 私は不安になりやすい⇒⭕ 不安が今、前に出てきている

こう言うだけで、感情と自分の間に距離が生まれます。

感情は誰にでもあります。でも、それがあなたそのものではないという感覚が大切です。

外在化は「ポジティブに言い換えること」ではない

外在化でよくある誤解があります。

「怒り」→「本当は優しい」

「不安」→「慎重な性格」

こういう捉え直しは一見良さそうですが、外在化ではありません。なぜならそれは、感情を消そうとしているだけだからです。

外在化は、怒りも不安もそのまま置いておくことです。そして位置関係だけを変えます。

なぜ外在化すると変化が起きるのか

感情と自分が一体化しているとき、人は選択肢を失います。

選んでいるつもりでも、実際は感情の反応ルートをそのままなぞってしまうからです。

外在化すると、『感情に任せて動く』か『少し待つ』か『別の行動を選ぶか』を選択できるようになります。

外在化のメリット・デメリット

ものごとには、必ずメリットとデメリットがあります。

メリット

感情に巻き込まれるスピードが遅くなる

「今、自分は反応している」と気づける

感情のあとに立て直しやすくなる

自己否定が減る

デメリット

最初は意味が分かりにくい

感情が強すぎると使えない

理屈っぽく感じることがある

外在化は、感情が爆発している最中にやる技法ではありません。落ち着いているときに「知っておく」ことで効いてきます。

今日からできる外在化の練習

もし感情が溢れ出したときは、次のように言葉を変えてみてください。

「怒りが今、前に出てきてる」

「不安が今、支配しようとしてる」

「悲しみが、目の前に広がってる」

そして最後にこう付け足します。

「でも、私は私」

これだけで、感情に飲まれにくくなります。

おわりに

怒りや不安が強く出るとき、私たちはつい「こんな自分はダメだ」と思ってしまいがちです。でも感情は、あなたを困らせるために出てきているのではありません。

本当は、今のあなたが何を抱えているのかを知らせるために、心が出しているサインでもあります。

外在化は、感情を消す方法ではなく、感情に飲み込まれないための「距離」をつくる方法です。感情が出てきたときに、「またダメだった」と責めるのではなく、

「今、怒りが前に出てきてるな」

「不安が近づいてきてるな」

と気づけるだけでも、心は少し落ち着きを取り戻します。

感情に振り回される毎日は、とても疲れます。だからこそ、今日の内容が、あなたが自分を守るための小さなヒントになれば嬉しいです。

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