アニメから読む心理学13 ~葬送のフリーレン にみる―悲しみと無駄な時間の意味

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「効率よく生きること」が正しいと、いつから思うようになったのでしょう。

こんにちは。オタクとは呼べないけれど、アニメは大好きなピュシカです。

『葬送のフリーレン』第2期が放送されていますね。

思えば、この「アニメから読む心理学」シリーズの第1号も、この作品でした。またフリーレンロスが起きそうです(笑)

相変わらず、たくさんの気づきをもらえる物語です。

このブログは、公認心理師ピュシカの視点で感じたことを思うがままに綴っています。

今回も、最後までお付き合いいただけたら嬉しいです。

【アニメから読む心理学】葬送のフリ-レンから学ぶ 人と上手く関係を保つための極意
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「意味のないこと」の扱い方

みなさんは日常で、

意味のないことやムダなことをどのくらいしていますか?

私たちは、

・意味のないこと

・時間のムダ

・成果につながらないこと

を、できるだけ避けようとします。

私自身も、

•タイパ

•効率

•生産性

をとても重視していました。

「ムダなことは一切したくない!」

そう思っていたことは何度もあります。もともとそういう人でした。けれど、心は必ずしも効率的ではありません。

最近ではむしろ、心が整っているときほど“意味のない時間”を許せるのだと感じています。

ここで少し立ち止まって考えてみると、“意味がない”というのは、成果にならないという意味であって、価値がないという意味ではないのかもしれません。

生産性という物差しで測れないものや、形の無いものは、私たちはすぐに「ムダ」と呼んでしまう。

けれど、

•誰にも評価されない時間

•何も生み出さない会話

•結論の出ない思索

そういう時間の中でこそ、心は静かに耕されているのだろうと思います。

意味の無いことや、時間がムダだと思えることを、あえて抱えられるとき、そこにこそ「余裕」というものが育つという気がします。

はじまりが「終わり」である物語

多くの物語は「出会い」から始まります。けれど『葬送のフリーレン』は、終わりから始まります。

勇者ヒンメルたちとの長い旅が終わり、魔王を倒し、そして仲間が老い、亡くなるところから物語が動き出します。

これは単なる冒険譚だけではなく、喪失の物語です。そして同時に、「グリーフケア(悲嘆のケア)」の物語でもあります。

彼女にとってそれは、魔法を集める旅ではなく、“時間をかけて悲しみを理解する旅”なのかもしれません。

フリーレンの悲嘆

フリーレンは、ヒンメルやハイターの死を知っても泣きませんでした。村人から異質な目で見られるほどです。

けれどヒンメルの死後、彼女はこう言います。

「もっと知ろうとすればよかった」

これは、典型的なグリーフの一側面です。

・もっと話せばよかった

・あのとき、こうすればよかった

・本当は何を思っていたのだろう

後悔は、愛の裏返しでもあります。

グリーフケアでは、「悲しみを消すこと」よりも関係を再構築することが大切だとされています。

フリーレンはもう一度、“ヒンメルを知る旅”に出ます。それは、亡き人の足跡を辿る、新しい関係を築くプロセスなのかもしれません。

物語そのものがグリーフワーク

この作品の不思議なところは、物語の多くが「一見、意味のないこと」で構成されている点です。

・小さな村に立ち寄る

・どうでもよさそうな依頼を受ける

・時間をかけて魔法を集める

・無駄に思える会話を重ねる

効率だけで見れば、回り道ばかりです。

しかし、グリーフも同じです。悲嘆のプロセスは直線ではありません。

前に進んだと思ったら戻る。

関係ない出来事で急に思い出す。

意味のない時間の中で、ふと大切なものに気づく。

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悲しみは、効率よく終わらせられるものではありません。フリーレンの物語は、悲しみを急がせません。

グリーフケアもまた、急がせないことが最大のケアなのです。

悲しみは人それぞれで、正解も期限もありません。もし、その重みに押しつぶされそうになった時は、フリーレンがフェルンやシュタルクを頼ったように、誰かの手を借りることも一つの選択肢です。

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まとめ

『葬送のフリーレン』は、「喪失は終わりではなく、関係の再構築の始まりである」ということを描いている作品のように感じます。

そして同時に、「意味がないように見える時間こそ、心を耕している」とも伝えてくれているように思います。

もしかすると、意味があるかないか、意味あるものにするかしないか、それすらも私たちの捉え方ひとつなのかもしれません。

よくよく考えてみると、“ピュシカ”の語源も、ギリシャ哲学の「ピュシス」に由来し、「自然」や「本質」を意味する言葉です。形而上学の分野では「自然のものども」とも訳され、目に見えるものだけでなく、言葉にしにくいあらゆる存在の本質を含みます。

私は、形のあるもの、無いものを言葉にして、意味のあるものにしたいと思い、この名前をつけました。

言葉にする前の感情は、形もなく、意味もないように見えるかもしれません。

けれど、そこには確かに価値がある。

あなたが最近、“ムダかもしれない”と思いながらも実は少しだけ救われた時間はあったでしょうか?

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