上司の機嫌を損ねないように気を遣い、部下にはハラスメントにならないように気を遣う。
そのように上司や部下に気を遣いすぎて疲れることはありませんか?
できるだけ波風を立てず、仕事を円滑に進めたい。
そう考えて気を遣っているうちに、気づけば自分がいちばん疲れている。
上司の機嫌を損ねれば、仕事が進めにくくなる。部下の機嫌を損ねれば、反発されたり、余計な対応に追われたりする。
だから、先回りして相手の意向をくみ取り、言葉を選び、できるだけ問題が起きないように振る舞う。
これは、職場で余計なトラブルを避けるための現実的な対応ですよね。
でも実は疲れるのには理由があります。
今日は、気を遣いすぎて疲れる理由と、対処法をお伝えします。

気を遣う人ほど、仕事以外のことに疲れている
上司に報告するとき、どう伝えれば機嫌を損ねずに済むか。
部下に注意するとき、どう言えばハラスメントと受け取られずに済むか。
仕事を進めるだけでも考えることは多いのに、相手の反応まで予測しながら言葉や行動を選んでいませんか?
さらに、相手の機嫌を損ねたら、その後の対応まで考えなければなりません。
つまり、仕事そのものだけでなく、相手の反応や、その後に起こるかもしれない面倒なことまで考えているのです。
これでは、仕事以外のところにもエネルギーを使うことになります。
では、なぜそこまで相手に気を遣ってしまうのでしょうか。

気を遣うことで、見落としていること
上司にも部下にも気を遣っていると、どうしても相手の反応や、周囲との関係に意識が向きがちです。
上司が求めていることは何か。
部下はどう受け取るだろうか。
どうすれば、問題なく仕事を進められるだろうか。
こうして相手のことを考える一方で、後回しになっていることはありませんか?
たとえば、本当は納得できていないのに、上司の指示だからと受け入れる。
自分の仕事が手いっぱいなのに、部下の負担を考えて仕事を引き受ける。
周囲への配慮を優先するあまり、自分がどうしたいのか、何ならできるのかを考える余裕がなくなってしまうことがあります。
もちろん、仕事では自分の希望ばかりを優先するわけにはいきません。
しかし、周囲への配慮と、自分の考えや事情を考慮することは、両立できるのです。
周囲に気を遣うことに意識が向いていると、自分の負担や、本来伝えるべきことを見落としてしまうことがあります。
上記はあくまでも例ですが、疲れているのなら、自分なりの見えていない部分があるかもしれません。
そこにまずは気づいてあげましょう。

気を遣いすぎて疲れたときの対処法
では、上司にも部下にも気を遣って疲れてしまうとき、どうすればよいのでしょうか。
まずは、相手に気を遣うのをやめようとする必要はありません。
職場では、相手の立場や状況を考えることも必要ですし、実際に気を遣わなければ仕事が進まない場面もあるでしょう。
大切なのは、気を遣うことをやめるのではなく、自分が何を考え、どう行動するかを意識することです。
自分ができることと、できないことを分ける
上司の要求に応えることも、部下が働きやすいように配慮することも、仕事の一部かもしれません。
しかし、すべての要求に応えることや、全員が不満を持たないようにすることまで、自分の役割なのでしょうか。
たとえば、仕事量が多くて対応できないなら、優先順位を相談する。
部下に改善してほしいことがあるなら、ハラスメントにならないかと過度に恐れるのではなく、自分の感情をぶつけず、業務上必要な事実と改善してほしい点を具体的に伝える。
自分にできることは何か、どこからは相手や組織の課題なのかを分けて考えることで、対応の仕方も変わってきます。
これは、自分と他者の「境界線(バウンダリー)」を意識することでもあります。
相手の課題まで自分が引き受けようとせず、自分にできることと、相手や組織が対応すべきことを分けて考えてみましょう。

相手の反応ではなく、仕事の目的に目を向ける
上司に何かを伝えるときも、部下に注意するときも、相手がどう反応するかは気になります。
ただ、相手が不機嫌にならないことだけを基準にすると、本来必要な判断ができなくなることがあります。
そんなときは、「相手がどう思うか」だけでなく、「仕事を進めるために何が必要か」という視点に戻ってみましょう。
相手の反応に配慮しながらも、必要なことは伝える。
相手の希望を聞きながらも、引き受けられないことは理由を説明する。
相手がどう反応するかは、こちらでは決められませんが、自分の伝え方や行動については考えることができます。

上司や部下への伝え方の例
では、実際にどのように伝えればよいのでしょうか。
大切なのは、相手の機嫌を取ることではなく、伝えるべき内容をわかりやすく伝えることです。
上司に伝えるとき
たとえば、仕事を追加で頼まれたものの、今抱えている仕事で手いっぱいの場合。
「すみません、ちょっと難しいです」と断るだけでは、相手も判断に困るかもしれません。
そんなときは、現在の状況と、確認したいことを具体的に伝えます。
伝え方の例
「現在、AとBの業務を進めています。こちらを優先する場合、Bの完了は明日になります。どちらを優先すればよいでしょうか?」
このように伝えれば、できないと拒むのではなく、業務を進めるための相談になります。
無理に引き受けて自分だけで何とかしようとする前に、状況を共有し、優先順位を確認することも必要です。
部下に伝えるとき
部下に改善してほしいことがある場合は、相手の性格や人間性を評価するのではなく、具体的な事実と、求める行動を伝えます。
たとえば、報告が遅れた部下に対して、「いつも報告が遅い」「もっと責任感を持ってほしい」と伝えると、相手は責められたと感じ、何を改善すればよいのかわからないことがあります。
伝え方の例
「今回、進捗の報告が期限を過ぎていました。今後は、期限までに完了できないとわかった時点で、状況を報告してください」
このように、何が起きたのか、今後どうしてほしいのかを具体的に伝えます。
必要な指導まで控える必要はありません。業務上必要な内容を、事実に基づいて伝えることが大切です。
もちろん、伝え方や状況によって相手がどう受け取るかは異なります。適切な言葉を選ぶことは大切ですが、相手が不機嫌にならないことまで保証することはできません。
だからこそ、相手の反応だけを基準にするのではなく、必要なことを適切に伝えられたか、という視点も大切です。

わかっていても変えられないときは
頭では、相手の機嫌ばかり気にしなくてもいいとわかっている。
必要なことを伝えればいいとわかっている。
それでも、いざ上司や部下を前にすると、言葉を選びすぎたり、結局自分が引き受けてしまったりする。
そんなこともあるかもしれません。
これまでの経験から、相手の機嫌を損ねないようにすることが、自分にとって最も問題の少ない方法になっているのかもしれません。
あるいは、自分が間に入ることで物事がうまく進んできたため、それが当たり前になっていることも考えられます。
ただ、なぜそうするのかは、人によって違います。
だからこそ、一般的な対処法を試すだけでなく、自分はなぜそこまで気を遣うのか、何を避けようとしているのかを深く知ることも大切です。
自分の行動の背景がわかると、これまでとは違う対応を選べるようになることがあります。
もし、
✔自分でもなぜ気を遣いすぎてしまうのかわからない。
✔頭ではわかっていても行動を変えられない。
✔なぜかいつも同じことを繰り返している。
そんなことがあるなら、自分の気持ちや考えを言葉にしてみませんか?
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